コーヒーの味を決める大きな要素は①豆の種類(品質)②焙煎度合い ③淹れ方(抽出)の3つがあげられます。
この3つのうち①豆の種類は(品質)は、コーヒーの味わいの土台・ベースになるため、コーヒーの基礎知識として、「コーヒーの品種」について記事にしたいと思います。
1.コーヒーとは
コーヒーは、「コーヒーノキ」の種子であるコーヒー豆(生豆)を焙煎して挽いた粉末から、湯または水で成分を抽出した飲み物で、この「コーヒーノキ」はアカネ科コーヒーノキ属(コフィア属)に属する常緑樹となります。
アカネ科は植物の科の中ではキク科、ラン科、マメ科に次いでトップ4で、植物全体の約4%を占めています。(クチナシもアカネ科の植物です)
イネ科(5位)より上位なんだな…
コーヒーノキ属は、このアカネ科に属しており現在は約130種類の種が見つかっていますが、コーヒーとして使用されるものは、アラビカ種・ロブスタ種(学名:カネフォーラ種)・リベリカ種の3種となります。
この3種は「コーヒーの三原種」と呼ばれていますが、市場に出回っているものは主にアラビカ種とロブスタ種となります。
2.アラビカ種とロブスタ種
リベリカ種はロブスタ種ほどではありませんが苦味が強く、香味もアラビカ種に劣っています。
生産量もごくわずかですので、今回はアラビカ種とロブスタ種について詳しく記載します。
(1)アラビカ種
アラビカ種は15~17世紀に飲用が広まった「最初のコーヒー」で、その後の数百年間は「世界の唯一のコーヒー」でした。ロブスタ種が発見された現在でも、全生産量の約6~7割を占めています。
アラビカ種は標高1000m~2000mで、ほどよく温暖な気候で育ちます。病虫害に弱いのが難点のため、ロブスタ種などと交配しハイブリッド品種も作られています。
味わいとしては、ロブスタ種より好まれる場合が多いです。
(2)ロブスタ種
ロブスタ種の「ロブスタ」は「頑強な」「粗野な」といった意味の言葉です。言葉のとおり19世紀末に東南アジアでコーヒーさび病が流行したとき、全てのさび病に耐性があるということで注目されはじめました。
標高250~1500mといった低地や20~30℃といった高温でも、よく育ちますが、「ロブスタ臭」といった独特の土臭さなどで好まれない場合があります。
(3)アラビカ種とロブスタ種の味の違い
地域やコーヒー豆の品質によっても違いますが、一般的には以下のような違いがあります。
<豆の含油率> 香りの強さに影響
- アラビカ種 15~17%と含油率が高いため、なめらかでしなやかな口当たり
- ロブスタ種 10~12%と含油率は低め
<豆の糖度> 焙煎度合い、酸味、口当たりに影響
- アラビカ種 6~9%
- ロブスタ種 3~7% アラビカ種より低いため、口当たりは硬く、苦味があり、強い後味が残る
<豆のカフェイン含有率> コーヒーの木の耐性に影響
- アラビカ種 0.8~1.4%
- ロブスタ種 1.7~4% 含有率が高いため、病害、菌、害虫に耐性あり
3.コーヒーの品種
アラビカ種の品種は、ティピカ・ブルボン・ゲイシャなどがあります。
カネフォーラ種は、交配を除けばアラビカ種のように複数の品種はありません。
4.定番の8品種
コーヒー豆の品種は数百あると言われていますが、定番・特徴的な8品種を表にします。
品種 | 一般的な特徴 | 主な生産国 |
---|---|---|
ティピカ | 最も原種に近い、最古の栽培品種 さわやかな酸味、繊細な香り、マイルドな味わい | ブラジル、ペルー、ルワンダ |
ブルボン | ティピカの突然変異(イエローブルボンなど) ふくよかな甘みがあり、バランスがよい | ブラジル、グアテマラ、コロンビア |
カトゥーラ | ブルボンの突然変異「カツーラ」とも呼ばれる 軽やかな甘さ、ライトな口当たり | コスタリカ、コロンビア |
SL28、SL34 | ブルボンの突然変異 ドライフルーツのようなジューシーな酸味 | ケニア |
エチオピア原種 | 特定の品種はなく、エチオピア在来種の総称 総じて花のようなフレーバー | エチオピア |
ゲイシャ | エチオピア原種の一種(栽培が困難、収量少) 複雑で繊細な味わい | パナマ、エチオピア |
パカマラ | ブルボンの突然変異である「パカス」と ティピカの突然変異である「マラゴジッペ」を 人工交配させたもの きれいなフレーバー、クリーミーな触感 | エルサルバドル、グアテマラ |
ハイブリッド ティモール | アラビカ種とロブスタ種が偶然、自然に掛け 合わさったもの 「ルイル」「カティモール」が有名 | 東ティモール、ベトナム、ケニア |
5.まとめ
コーヒーの品種についての記事でした。
なかなか自分で生産国に行くのは難しいので、主に文献の情報なりますが、調べれば調べるほどこれから色々な種類のコーヒーを飲んでみたいと思いました。
(おすすめ文献)
・コーヒーの味わいを化学物質など、科学的なアプローチで説明しています。
・イラストが多く、好みの味の見つけ方など、幅広い内容が分かる一冊。
・100ページ以上のコーヒー生産地の情報あり。写真もキレイ。値段が少し高めですが、その価値あり。
お読みいただき、ありがとうございました!
参考文献1:旦部 幸博「コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか」講談社、2016/2/19発行
参考文献2:井崎 英典「理由がわかればもっとおいしい! コーヒーを楽しむ教科書」ナツメ社 、2020年2月10日初版発行
参考文献3:ジェームズ・ホフマン「ビジュアル スペシャルティコーヒー大事典」日経ナショナル ジオクラフィック社、2015年8月24日第1版1刷
参考文献4:丸山 健太郎「COFFEE BOOK: コーヒーの基礎知識・バリスタテクニック・100のレシピ」誠文堂新光社、2015年9月8日発行
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